STN Laser

2026年6月現場実績

鉛・PCB・六価クロム — 有害塗膜の除去をレーザーで安全に

古い橋や鋼構造物の塗膜には、鉛・PCB・六価クロムが潜むことがあります。ブラストで剥がせば有害物が飛散し、廃棄物も膨らむ。レーザーなら塗膜を発生源で捕集し、飛散と廃棄物を抑えながら除去できます。PCBの処理期限が迫るいま、検討する価値のある工法です。

老朽インフラと有害塗膜の課題とは

日本の道路橋は約73万橋。そのうち建設から50年を超えるものは、2023年で4割近く、2033年には6割を超えると見込まれています。塗り替えや補修の波は、これから本格化します。

問題は、古い橋ほど塗膜に有害物を含む点です。塗り替えのたびに、その除去と廃棄をどう安全に・どれだけのコストで行うかが、現場に重くのしかかります。

橋梁の鋼構造部材の塗膜をレーザーで除去している現場作業
橋梁部材の塗膜除去 — 養生を簡素にしたまま現場で施工

鉛・PCB・六価クロムの何が問題か

問題は、いずれも作業者の健康と環境に関わる有害物で、剥がすときに飛散させると曝露や汚染を招く点です。鉛は鉛中毒予防、六価クロムは特定化学物質、PCBは厳格な処理義務の対象で、剥がして集め適正に処理するまでが一体になります。だから飛散を抑えられる除去工法の価値が高まります。

古い防食塗装には、時代ごとに異なる有害物が使われてきました。いずれも作業者の健康と環境に関わるため、除去時の飛散管理が欠かせません。

  • 鉛 — 1990年代までの塗料に多く、鉛中毒予防の対象。粉塵の吸入・飛散を抑える必要がある
  • 六価クロム — 防食プライマーに使われ、発がん性が指摘される。特定化学物質としての管理対象
  • PCB — 1960〜70年代の塩化ゴム系塗料などに含まれることがあり、厳格な処理が義務づけられている
  • コールタール系 — 有害な成分を含み、これも管理しながらの除去が求められる

どれも「剥がして終わり」ではなく、剥がした塗膜を飛散させずに集め、適正に処理するところまでが一体です。だからこそ、飛散を抑えられる除去工法の価値が高まっています。

PCBはなぜ2027年3月までなのか

有害塗膜のなかでも、PCBは時間の制約がはっきりしています。高濃度PCB廃棄物の処分期限は、最終的に2027年3月31日とされ、延長はないとされています。期限を過ぎると処分先で受け入れられず、半永久的に保管し続けることになりかねません。違反には罰則も定められています。

PCB含有が疑われる塗膜があるなら、まず分析、そして処理計画です。処理には相応の費用がかかるため、廃棄物の量をどれだけ抑えられるかが、総コストを大きく左右します。期限から逆算した早めの着手をおすすめします。

期限から逆算した処理計画や対象橋梁の見立ては、PCB期限の現場相談として個別にうかがえます。

レーザーで有害塗膜除去はどう変わるか

レーザーは塗膜を発生源で剥がし、出た粉塵をその場で集塵機に捕集します。研削材を使わないので、研削材ごと有害物を周囲に巻き上げることがありません。出る廃棄物は剥がした塗膜だけ。海外の道路機関による実証では、ブラストに比べ廃棄物が約99%少なかったという結果も報告されています。PCBのように処理費が量に効く廃棄物では、この差が大きく効きます。

音も静かです。会話と同じくらいの約65dBで作業でき、振動もありません。住宅地に近い橋や、夜間しか時間が取れない現場でも使いやすい。さらに、ブラストでは難しい付着塩分の同時除去や、素地調整から塗装までの猶予が広がる利点もあります。工程としても、養生・施工・撤去・廃棄という流れを、照射と集塵に集約できます。

出力条件を変えて塗膜を段階的に除去した鋼板の試験片
条件出しの例 — 出力に応じた塗膜除去の進み具合を確認

有害物を含まない一般的な塗膜の落とし方は塗装剥離の方法で整理しています。

品質(Sa3・密着)は出るのか

有害物を抑えられても、塗り替えの下地として品質が出なければ意味がありません。ここも裏付けがあります。海外の道路機関の試験では、レーザーで仕上げた素地はグリットブラストと同等以上の接着力を示し、素地調整のグレードもSa3相当まで狙えるとされています。母材への熱の影響はごく表層にとどまり、機械的な特性には影響しないと報告されています。

緑色の旧塗膜をレーザーで除去し鋼素地を露出させたクローズアップ
旧塗膜の除去 — 母材を傷めず素地を出す

素地調整のグレード(除錆度)の考え方はケレン・除錆度(Sa)ガイドで詳しく解説しています。橋梁全般のレーザー施工は橋梁のレーザークリーニングとNETISもあわせてご覧ください。

従来工法と何が違うのか

有害塗膜の除去で使われる工法を、飛散・廃棄物・品質の観点で並べます。

比較項目レーザーオープンブラスト剥離剤+ブラスト
廃棄物の量ごく少ない(乾いた粉末)研削材ごと大量に出る中程度
有害物の飛散発生源ですぐ捕集飛散リスクが大きいリスクが残る
養生・囲い簡素大規模で高額必要
騒音約65dB(会話レベル)100dBを超えることも大きい
素地の品質Sa3相当まで狙えるSa2½相当Sa2½相当
付着塩分同時に除去残りやすい残りやすい
再塗装までの猶予広い短い短い
狭所(ボルト・隅角部)回り込んで届く角度を取りにくい同左

有害塗膜でレーザーが効く理由

最大の理由は、飛散を抑えながら廃棄物そのものを減らせることです。有害物の処理は量に費用がかかるため、廃棄物を減らせれば総コストに直結します。さらに養生が簡素で、低騒音・無振動。住宅地近接や夜間作業の制約が厳しい橋ほど、効いてきます。

おすすめ機種・体制

大面積の塗膜除去 → ST-CW-2000-W/ST-CW-3000-W + 走行装置

桁やウェブなど広い面は、高出力のCW機と走行装置で。集塵装置を併用すれば、有害物を抑えながら少人数で進められます。さらに大面積・高効率が要る現場には ST-CW-6000-W も選べます。

狭所・部分補修 → ST-P-100-AIR/ST-P-200-AIR(パルス)

ボルトまわりや隅角部、薄板の局所処理には小型のパルス機を。ST-P-100-AIRはAC100V・約10kgで、現場へ持ち込んで使えます。

現場の基本形 → 大面積はCW、狭所はパルスの二台体制

広い面と入り組んだ部位が混在する橋梁では、役割の違う二台を組み合わせると、全体を取りこぼしなく処理できます。現場の構成に合わせてご提案します。

補助金は使えるか

使える場合があります。設備導入では、ものづくり補助金などの補助制度に設備投資の税制を組み合わせられることがあります。ただし適用には要件があり、制度は年度で内容が変わるため、最新の要件を確認したうえで計画するのが前提です。該当しそうなら早めの確認をおすすめします。

設備導入にあたっては、ものづくり補助金などの補助制度に加え、設備投資の税制を組み合わせられる場合があります。適用には要件があり、制度は年度で変わるため、最新の内容を確認したうえで計画するのが前提です。具体的な進め方はご相談ください。

活用できる制度と申請の流れは補助金・助成金ガイドにまとめています。

NETIS登録番号 KK-250004-A の工法は、関係各社の共同開発として登録されています。公共工事での加点条件は発注者・工事内容によって異なるため、適用にあたっては個別にご相談ください。

よくある質問

鉛・PCB・六価クロムを含む塗膜を、安全に除去できますか?

できます。レーザーは塗膜を発生源で剥がし、出た粉塵をその場で集塵機に捕集します。研削材ごと周囲に飛散させるブラストと違い、有害物を巻き上げにくいのが特長です。廃棄物の量も大きく減らせます。もちろん、鉛やPCBなど有害物の取り扱いは法令に沿った管理が前提になりますので、集塵・回収の体制とあわせてご相談ください。

PCB含有塗膜の処理期限はいつまでですか?

高濃度PCB廃棄物の処分期限は、地域により定められており、最終的な期限は2027年3月31日とされています(延長はないとされています)。期限を過ぎると処分先で受け入れられず、保管を続けざるを得なくなります。違反には罰則も定められています。該当する塗膜があるなら、分析と処理計画を早めに進めることをおすすめします。

ブラストと同じ品質(密着・強度)が出ますか?

出ます。海外の道路機関の試験では、レーザーで仕上げた素地はグリットブラストと同等以上の接着力が示されています。素地調整のグレードもSa3相当まで狙え、母材への熱の影響はごく表層にとどまり、機械的な特性に影響しないと報告されています。実際の品質は対象物でのテストで確認します。

住宅地に近い現場や、夜間の作業でも使えますか?

向いています。レーザーは会話と同じくらいの約65dBで作業でき、振動もありません。養生も簡素にできるため、住宅地に近接した橋や、交通規制の時間が限られる現場、夜間の作業でも運用しやすいのが強みです。

ボルトまわりや隅角部のような狭い場所も処理できますか?

できます。支承まわり、ボルトの頭、隅角部、桁端部、リベット周りなど、ブラストでは角度を取りにくい場所も、光が届けば回り込んで処理できます。大きな面は走行装置付きのCW機で、狭所は小型のパルス機で、と二台で役割を分けるのが効率的です。

まとめ

  • 古い橋ほど鉛・PCB・六価クロムを含み、除去時の飛散管理が欠かせない
  • PCBの処分期限は最終的に2027年3月31日。早めの分析と処理計画が要る
  • レーザーは発生源で捕集し、飛散と廃棄物を抑えて除去できる
  • 海外の道路機関の試験ではグリットブラスト同等以上の密着、Sa3相当まで狙える
  • 約65dBの低騒音・無振動で、住宅地近接や夜間の現場に向く
  • 大面積はCW、狭所はパルスの二台体制で、橋梁全体を取りこぼしなく処理

有害塗膜の除去や塗り替え前処理でお困りの際は、実際の対象物での無料テスト加工で、仕上がりと飛散の少なさをご確認いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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