STN Laser

2026年6月品質実証

ケレンとは? 1種・2種ケレンの違いと除錆度Sa

ケレンとは塗装前に鋼材の錆・旧塗膜・黒皮を落とす素地調整のことで、ここで塗膜寿命が決まります。除去の徹底度に応じて1種〜4種のグレードがあり、国際規格 ISO 8501-1 では Sa2.5・Sa3 といった除錆度で整理されます。橋梁や鉄塔では1種ケレン相当が目標になります。

ケレン(素地調整)とは

ケレンとは、鋼構造物を塗装する前に、表面の錆・旧塗膜・黒皮(ミルスケール)・汚れを取り除き、塗料がしっかり密着する清浄な素地に整える作業です。現場では「素地調整」とも呼ばれます。橋梁・鉄塔・プラント・水門など、長く使い続ける鋼構造物の塗り替えや新設塗装では、必ず通る工程です。

大事なのは、ケレンが単なる掃除ではないという点です。仕上げの良し悪しが、その後の塗膜の密着性・防食性・耐久年数に直結します。建築の鉄骨工事標準仕様書や鋼道路橋の塗装関連基準など、各種仕様書では「どこまで素地を整えるか」=ケレングレードを指定するのが普通です。要求品質に応じてグレードを選ぶ、れっきとした品質工程なのです。

鋼材の塗膜をレーザで剥離した素地調整のテストパッチ
素地調整の加工結果 — 旧塗膜を剥離し、母材を露出させた状態

1種〜4種ケレンの違い

建設業界で使われるケレングレードは、除去の徹底度に応じて1種から4種に区分されます。番号が小さいほど除去レベルが高く、清浄な金属面に近づきます。以下は公開規格・業界一般知識としての概要です。

1種ケレン — すべて除去する最高グレード

錆・旧塗膜・黒皮(ミルスケール)をすべて除去し、清浄な金属面を露出させます。ブラスト処理で行われるのが一般的で、新設の重防食塗装や橋梁の本格的な塗り替えで要求されます。

2種ケレン — 活膜を残す実用レベル

密着している健全な旧塗膜(活膜)は残し、錆・浮いた旧塗膜・黒皮を動力工具などで除去します。現場で広く採用される実用的なグレードです。

3種ケレン — 健全な旧塗膜は積極的に残す

錆・劣化した旧塗膜は除去しますが、健全な旧塗膜は積極的に残します。比較的軽度の素地調整です。

4種ケレン — 表面の付着物を清掃する軽いグレード

粉化物・汚れ・浮き錆など、表面の付着物を清掃・除去する程度の、もっとも軽いグレードです。

ケレングレードはあくまで「どこまで除去するか」を定めた区分です。対象物の用途や環境(飛来塩分・湿潤環境・公共工事の品質基準など)に応じて指定されます。海岸部の構造物や橋梁・鉄塔のように重防食が必要な現場では、1種ケレン相当の高い除錆度が求められる場面が多くなります。

Sa2.5・Sa3とは — ISO 8501-1との対応

Sa2.5・Sa3とは、ISO 8501-1が定めるブラスト処理の除錆度のことです。Sa2.5は錆・黒皮・旧塗膜をほぼ完全に除去し、わずかな影状の残りのみ許容する状態、Sa3は完全に除去して均一な金属光沢面を得る最高グレードを指します。いずれも日本でいう1種ケレン相当の清浄度にあたります。

除錆度はこの「Sa」記号で4段階に区分し、写真標準と照合して判定します。日本のケレン種別とは規格の成り立ちが違いますが、実務上はおおむね次のように対応づけて理解されています。あくまで目安であり、規格上の厳密な同値ではありません。

ISO 8501-1 除錆度状態の概要ケレン種別の目安
Sa1軽いブラスト処理。浮き錆・浮いた旧塗膜を除去した程度4種〜3種ケレン相当
Sa2ほとんどの錆・旧塗膜・黒皮を除去。わずかに残存・変色あり2種ケレン相当
Sa2.5錆・黒皮・旧塗膜をほぼ完全に除去。わずかな影状の残りのみ許容1種ケレン相当(実務上の標準)
Sa3錆・黒皮・旧塗膜を完全に除去し、均一な金属光沢面を得る最高グレード1種ケレン(最高)

重防食塗装の前処理では、実務上 Sa2.5 が標準的な指定として広く用いられます。より厳しい条件では Sa3 が要求されます。1種ケレンを求められる橋梁・鉄塔などでは、この Sa2.5〜Sa3 レベルの清浄度が目標になります。

なぜ素地調整で塗膜寿命が決まるのか

塗膜の防食性能は、塗料そのものの性能だけで決まるわけではありません。下地の清浄度と密着状態に大きく左右されます。素地調整が不十分なまま塗装すると、次のような不具合が早期に表れます。

  • 密着不良による早期剥離 — 黒皮や旧塗膜が残ると塗料が母材に密着せず、数年で膨れ・剥がれが進む
  • 下地錆の再発 — 取りきれなかった錆を起点に塗膜下で腐食が進行し、外観は健全でも内部で錆が拡大する
  • 塗り替えサイクルの短縮 — 素地調整の手抜きは塗り替え頻度を上げ、ライフサイクルコストを押し上げる
  • 品質基準を満たせない — 橋梁・鉄塔などでは指定のケレングレード(除錆度)を満たすことが品質要件になる

裏を返せば、要求グレードを安定して達成できる素地調整は、塗膜寿命を延ばし、長期のメンテナンス負担を下げる投資になります。だからこそ、どの工法で・どの除錆度まで・どれだけ安定して仕上げられるかが問われます。橋梁の現場での素地調整の進め方は橋梁の素地調整でも取り上げています。

レーザーで何種ケレン相当まで対応できるか

レーザークリーナーは、条件を整えることで1種ケレン相当(Sa2.5〜Sa3レベル)の素地調整に対応できる能力を持ちます。ファイバーレーザーの光で錆・黒皮・旧塗膜を蒸発・剥離させる非接触工法で、砂も薬品も使わず母材を削らずに表面の付着物だけを選択的に除去できます。これが従来のケレン工法との大きな違いです。

ただし到達できる除錆度や処理速度は、錆・黒皮の状態、母材の材質、要求仕上がりで変わります。だから「規格で保証する」のではなく、実際の素地に対するテスト加工(無料)で仕上がりを実証してから条件を確定する。この進め方がいちばん確実です。

  • 砂・薬品を使わない — 研掃材の準備・回収・廃棄が不要で、現場の養生負担を抑えられる
  • 母材を削らない非接触処理 — 板厚や寸法を変えずに付着物だけを除去でき、薄板や精密部位にも対応しやすい
  • 手の届きにくい部位にも — ボルト周りや狭所、裏面など、研掃材や工具が届きにくい箇所も処理しやすい(専用ミラー治具との併用で対応範囲が広がる)
  • 仕上がりが安定しやすい — 条件を管理することで、作業者の技量差によるばらつきを抑えやすい
  • 除錆度はテスト加工で実証 — 1種ケレン相当(Sa2.5〜Sa3レベル)への対応可否は、実際のサンプルでの加工結果で確認する
錆びた鋼板をレーザーで錆取りする素地調整作業
鋼板の錆取り(素地調整)作業
表面粗さを管理して仕上げたレーザー加工面のサンプル
表面粗さを管理した加工面サンプル

どこまでの除錆度に・どの速度で到達できるかは、レーザの選定と条件出しで決まります。STNは世界トップクラスの多数のレーザ光源を研究したうえで、用途ごとに最適な機種・条件を選定しています。その仕上がりの差は加工結果でご確認いただけます。到達グレードは、お客様の実際の素地に対するテスト加工でご提示します。

ブラスト・動力工具・手工具との比較

1種〜4種ケレンを担う代表的な工法と、レーザークリーニングを主要な観点で比較します。工法ごとに得意な除錆度・現場適性が異なります。

比較項目レーザーブラスト処理動力工具ケレン手工具ケレン
到達除錆度の目安1種ケレン相当(Sa2.5〜Sa3レベル・テスト加工で実証)1種ケレン(Sa2.5〜Sa3)2種〜3種ケレン3種〜4種ケレン
除去原理光エネルギーで蒸発・剥離研掃材の衝突で除去電動工具で研削・研掃ワイヤブラシ等で手作業
母材への影響非接触・母材を削らない表面に粗さ(アンカー)を付与研磨痕が残る除去が不均一
研掃材・薬品不要準備・回収・廃棄が必要砥石・ディスクの消耗ブラシの消耗
粉塵・養生集塵治具で抑制しやすい飛散が大きく養生負担大粉塵あり比較的少ない
狭所・複雑形状光が届けば対応(ミラー治具併用可)到達しにくい部位あり工具到達に限界限定的
仕上がりの均一性条件管理で安定比較的均一技量依存技量依存・ばらつき大

ブラスト処理は1種ケレンの代表工法ですが、研掃材の飛散・回収や養生の負担が大きく、現場条件によっては施工が難しいことがあります。レーザークリーニングは、研掃材・薬品を使わず母材を削らずに高い除錆度をねらえる点で、現場での素地調整の選択肢を広げます。最適な工法は要求グレード・対象物・現場環境で変わるため、実物でのテスト加工による確認をおすすめします。

現場ケレンの機種選び

鋼構造物の現場ケレンに適したSTNレーザークリーナーをご紹介します。対象面積・現場の電源環境・要求グレードに応じてお選びください。最終的な機種と条件はテスト加工で確定します。出力や形態を含めた選び方の全体像は現場ケレンの機種選びも参考になります。

屋外・小面積のケレン → ST-P-100-AIR(100W パルス)

AC100V駆動で約10kgのバックパック型。電源確保が難しい屋外現場や、ボルト周り・狭所のスポット的な素地調整に。可搬性を最優先したい現場向けです。

橋梁・鉄塔の現場ケレン(中面積) → ST-P-200-AIR(200W MOPA)

可搬性と処理能力のバランスに優れた汎用機。鉄塔・橋梁・鋼構造物の錆取り・素地調整の主力として幅広く対応します。MOPA方式で母材を傷めにくいのが持ち味です。

処理量の多い現場(出力重視) → ST-P-1000-W(1000W パルス・水冷)

より高い出力で中〜大面積の素地調整に対応。橋梁・プラントなど処理量の多い現場で、可搬性と出力のバランスを取りたい場合に。

大面積・高速処理 → ST-CW-2000-W(2000W CW・水冷)

連続発振(CW)の高速処理で、鋼板・大型構造物の広範囲な錆・黒皮除去を短時間で。走行装置と組み合わせれば省人化にも効きます。

黒皮(ミルスケール)の除去や溶接前処理を含めて検討される場合は、関連記事もあわせてご覧ください。鋼材の錆取り・黒皮除去は錆取りガイドで、溶接品質に直結する前処理は溶接前処理ガイドで詳しく解説しています。

黒皮そのものの落とし方は黒皮の除去方法で、金属溶射まで行う下地づくりは溶射下地の現場施工で扱っています。

よくある質問

ケレンとは何ですか?

鋼構造物を塗装する前に、表面の錆・旧塗膜・黒皮(ミルスケール)・汚れを除去し、塗料が密着する清浄な素地に整える作業です。建設・塗装の現場では「素地調整」とも呼ばれ、橋梁・鉄塔・プラントなど長寿命が求められる構造物では欠かせない品質工程です。

1種ケレンと2種ケレンの違いは何ですか?

1種ケレンは錆・旧塗膜・黒皮をすべて除去し、清浄な金属面を露出させる最高グレードで、新設の重防食塗装や橋梁の本格的な塗り替えで要求されます。2種ケレンは密着している健全な旧塗膜(活膜)は残し、錆・浮いた旧塗膜・黒皮を動力工具などで除去する実用的なレベルです。番号が小さいほど除去レベルが高くなります。

Sa2.5・Sa3とはどういう意味ですか?

ISO 8501-1で定められたブラスト処理の除錆度(Sa等級)です。Sa2.5は錆・黒皮・旧塗膜をほぼ完全に除去し、わずかな影状の残りのみ許容する状態で、重防食塗装の前処理で標準的に指定されます。Sa3は完全に除去して均一な金属光沢面を得る最高グレードです。いずれも1種ケレン相当の高い清浄度です。

レーザークリーナーは何種ケレン相当まで対応できますか?

条件を整えることで、1種ケレン相当(Sa2.5〜Sa3レベル)の素地調整に対応できる能力があります。ただし到達できる除錆度や処理速度は、対象材の錆・黒皮の状態、母材の材質、要求仕上がりによって変わるため、実際の素地に対するテスト加工で仕上がりを実証したうえで条件を確定するのが確実です。規格上の保証ではなく、加工結果での実証という考え方になります。

ブラスト処理とレーザーのケレンはどう違いますか?

ブラストは研掃材を衝突させて除去するため母材に粗さ(アンカー)を付与でき1種ケレンの代表工法ですが、研掃材の飛散・回収や養生の負担が大きくなります。レーザーは研掃材・薬品を使わず母材を削らずに高い除錆度をねらえるため、養生が難しい現場や狭所での素地調整の選択肢を広げます。どちらが最適かは要求グレード・対象物・現場環境で変わります。

まとめ

  • ケレン(素地調整)は鋼構造物の塗膜寿命を左右する品質工程
  • ケレングレードは1種〜4種。番号が小さいほど除去レベルが高い
  • ISO 8501-1のSa等級と対応。重防食はSa2.5が標準、厳しい条件はSa3
  • 橋梁・鉄塔は1種ケレン相当(Sa2.5〜Sa3レベル)が目標
  • レーザーは砂・薬品なし・母材を削らずに高い除錆度をねらえる
  • 到達グレードは無料テスト加工で実証してから条件確定

実際の素地での無料テスト加工で、到達できる除錆度と処理速度をご確認いただけます。橋梁・鉄塔・プラントの現場ケレンについて、お気軽にご相談ください。

関連記事:溶接前処理ガイド錆取り・黒皮除去ガイド塗装剥離ガイドレーザークリーナーとは

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